ひっつみとすいとんの違いは何?生地の作り方や食感の違いを活かすコツを紹介

岩手県の郷土料理として親しまれている「ひっつみ」と、全国的に家庭の味として知られる「すいとん」。どちらも小麦粉を練った生地を汁物に入れる料理ですが、実はその作り方や食感には明確な違いがあります。それぞれの特徴を知ることで、毎日の献立や旅先での食事がさらに楽しくなるはずです。

目次

ひっつみとすいとんの違いは生地の作り方と形に出やすい

一見すると似ている二つの料理ですが、最大の違いは生地の「成形」にあります。ひっつみは「引っ張ってちぎる」という動作が名前の由来になっており、薄く伸ばされるのが特徴です。一方で、すいとんは一口サイズに丸めたり、スプーンで落としたりして、ある程度の厚みを持たせることが一般的です。この形の違いが、口に運んだ時の印象を大きく変えるポイントになります。

ひっつみは手でちぎって薄くのばすことが多い

ひっつみは、岩手県を中心とした東北地方で古くから愛されてきた郷土料理です。その名前は、生地を「手でひっつむ(引きちぎる)」という方言からきています。作り方の大きな特徴は、小麦粉を水で練った生地をしばらく寝かせた後、指先で驚くほど薄く、そして平たく伸ばしながら汁の中に投げ入れていく点にあります。

熟練の方になると、生地が透けて見えるほど薄く伸ばすことができ、その形は一枚一枚が不揃いで個性的です。この「薄さ」こそがひっつみの醍醐味であり、汁の旨味を生地がしっかりと吸い込みやすくなります。また、薄い部分はつるりとした喉越しになり、厚みのある部分はモチモチとした食べ応えが残るという、一つの生地の中で異なる食感が共存するのも魅力です。

ひっつみを作る際は、生地を引っ張る時に手に水をつけるのがコツです。そうすることで生地が手にくっつかず、滑らかに伸ばすことができます。東北の厳しい寒さの中で、家族みんなで囲む鍋料理として発展してきたひっつみは、手仕事の温かみが感じられる、非常に繊細で手間暇を惜しまない料理といえます。

すいとんは丸めて厚みを残すことが多い

すいとん(水団)は、特定の地域に限らず日本全国で広く食べられてきた歴史があります。ひっつみとの大きな違いは、生地のボリューム感にあります。すいとんの場合、練った生地を一口大に手で丸めて団子状にしたり、少しゆるめに作った生地をスプーンですくってそのまま汁の中に落としたりして調理します。

このため、仕上がりはひっつみに比べて厚みがあり、コロンとした丸い形や、ぽってりとした塊状になるのが一般的です。しっかりとした厚みがあることで、小麦粉の素朴な風味をダイレクトに感じることができ、一粒食べるだけでもお腹にたまる満足感があります。お米が貴重だった時代には、主食の代わりとして重宝されてきたという背景もあり、力強い食べ応えが特徴です。

最近では、生地の中に豆腐を混ぜてふわふわに仕上げたり、片栗粉を加えてより弾力を強めたりと、家庭ごとのアレンジも豊富に見られます。ひっつみが「汁と一体化する薄さ」を追求するのに対し、すいとんは「具材の一つとしての存在感」を大切にする料理といえます。お箸で持った時のずっしりとした重みと、噛んだ時に中心まで熱々なのが、すいとんならではの楽しみです。

食感はひっつみがつるっと、すいとんがもちっとしやすい

形の違いは、当然ながら食べた時の「食感」にも大きな差を生みます。薄く伸ばされたひっつみは、口に入れた瞬間の「つるり」とした滑らかな喉越しが最大の特徴です。まるで幅広のうどんやワンタンの皮を食べているような感覚に近く、軽やかに箸が進みます。汁の味が生地に深く染み込んでいるため、噛むたびにジュワッとお出汁が溢れ出す感覚を楽しめます。

対してすいとんは、中心部に厚みがあるため、中心まで火を通すことで「もちもち」「むぎゅっ」とした強い弾力が生まれます。噛みごたえがしっかりしており、小麦粉の粘り(グルテン)を強く感じることができます。汁に馴染むというよりは、汁と一緒に「食べる」という感覚が強く、腹持ちの良さを重視する方にはすいとんが好まれる傾向にあります。

この「つるり」と「もちもち」の対比は、合わせる具材やお出汁の好みでも分かれます。あっさりとした醤油ベースの澄まし汁には、喉越しの良いひっつみが上品に合い、コクのある味噌仕立ての具だくさん汁には、存在感のあるすいとんがよく馴染みます。どちらが美味しいかというよりは、その日の気分や献立全体のボリュームに合わせて選ぶのが、通な楽しみ方です。

地域の呼び名と具材の違いも楽しみポイントになる

ひっつみやすいとんは、地域によって呼び名や中に入る具材が驚くほど多様です。岩手県内でも、地域によっては「はっと」や「つめり」と呼ばれることもあります。また、山梨県の「ほうとう」に近い「耳(みみ)」や、九州地方の「だんご汁」なども、小麦粉生地を汁物に入れるという点では同じルーツを持つ親戚のような料理です。

具材に関しても、ひっつみには鶏肉やごぼう、舞茸といった山の幸を醤油ベースで合わせることが多く、非常に香り高いのが特徴です。一方、すいとんは大根や人参、里芋といった根菜類をたっぷり入れ、家庭によっては豚肉を入れて豚汁風にするなど、冷蔵庫にある食材を何でも受け入れてくれる懐の深さがあります。

地域によっては、生地に蕎麦粉を混ぜたり、雑穀を入れたりすることもあり、その土地の気候や収穫される作物に合わせて工夫されてきました。旅先でこれらの料理に出会った際、その地域で何と呼ばれているか、どんな地元の食材が使われているかに注目してみると、日本の豊かな食文化の広がりを再発見できるはずです。

ひっつみ・すいとんを手軽に楽しめるおすすめ商品

家庭で一から生地を作るのは少し大変という方でも、市販のアイテムを使えば本格的な味を再現できます。最近では、地域の特産品を活かしたこだわりの粉やスープも多く販売されています。

ひっつみ粉・だんご粉ミックス(初心者でも作りやすい)

専用のひっつみ粉は、あらかじめ適度な粘りが出るように配合されており、水加減を調整するだけで失敗なく生地が作れます。ひっつみ特有の「薄く伸びる」性質を引き出しやすいため、初めての方には特におすすめです。

項目内容
商品名岩手県産 ひっつみ粉
特徴生地が伸びやすく、つるっとした食感を再現しやすい
メーカー株式会社タケト(岩手県)
公式サイトタケト 公式サイト

すいとんセット(だし付き・具材付きタイプ)

粉だけでなく、専用のスープや乾燥具材がセットになった商品は、包丁いらずで本格的な味が完成します。忙しい日の夕食や、アウトドアでのキャンプ飯としても非常に便利です。

項目内容
商品名手作りすいとんセット
特徴醤油や味噌ベースのスープが付属し、味が決まりやすい
メリット粉を練るだけで準備が整う手軽さが魅力
公式サイトカネサ 公式サイト

南部どりスープ(ひっつみ鍋の味が決まりやすい)

東北のひっつみを作るなら、欠かせないのが鶏の旨味です。岩手県産の「南部どり」など、質の良い鶏だしを使うことで、専門店のような深みのあるスープになります。

項目内容
商品名南部どり 鶏だしスープ
特徴濃厚な鶏の旨味が、小麦粉の生地と相性抜群
おすすめ醤油味のひっつみ鍋のベースに最適
公式サイトアマタケ 公式サイト

かつお・昆布だしパック(和風仕立てに合う)

すいとんをシンプルに味わうなら、まずは基本のお出汁をしっかり取ることが大切です。だしパックを使えば、煮出すだけで澄んだ黄金色のスープが取れ、素材の味を活かした上品な仕上がりになります。

項目内容
商品名国産だしパック詰め合わせ
特徴化学調味料無添加のものが多く、体にも優しい
使い方お好みの具材と煮込むだけで、料亭風の味わいに
公式サイト久原本家 茅乃舎公式サイト

味噌だれ・味噌パウダー(味噌味で失敗しにくい)

味噌味のすいとんを作る際、味噌を溶く手間が省ける液体だれやパウダータイプは非常に便利です。コクを出しつつ、味の濃さを簡単に調整できるため、具だくさんの汁物に重宝します。

項目内容
商品名液みそ 各種
特徴少量から使えるため、一人分のすいとん作りにも便利
メリット溶け残りがなく、最後まで均一な美味しさを保てる
公式サイトマルコメ 公式サイト

根菜ミックス冷凍(時短で具だくさんにできる)

大根や人参、里芋などがカットされた冷凍ミックス野菜を使えば、下ごしらえの時間が大幅に短縮できます。栄養バランスも良くなり、彩り豊かなひっつみ・すいとんがパッと作れます。

項目内容
商品名冷凍 豚汁・けんちん汁用ミックス
特徴火の通りが早いカット済み野菜のセット
活用法凍ったままお湯に入れて煮るだけで下準備が完了
公式サイトニチレイフーズ 公式サイト

ひっつみとすいとんを食べ比べする作り方のコツ

基本の材料は同じ小麦粉と水ですが、ほんの少しのコツで食感が劇的に変わります。ひっつみの「薄さ」とすいとんの「もちもち感」をより引き出すための、調理のポイントを整理しました。

生地はこねすぎないと固くなりにくい

生地を作る際、ついたくさんこねてしまいがちですが、実は「こねすぎない」ことが大切です。小麦粉はこねるほどにグルテンという成分が強くなり、弾力が増します。すいとんであれば適度な弾力は美味しさに繋がりますが、あまりにこねすぎると、加熱した時に中心部が硬いゴムのような食感になってしまうことがあります。

最初は粉っぽさがなくなる程度にさっくりと混ぜ合わせ、その後は耳たぶくらいの硬さを目安に、全体が滑らかになる程度で手を止めましょう。ひっつみの場合は、特に薄く伸ばす必要があるため、ガチガチに硬い生地にしてしまうと指で伸ばすのが困難になります。「少し柔らかいかな?」と感じる程度が、後で伸ばしやすくなる理想的な状態です。

また、練る際の水加減も重要です。一度に全部の水を入れず、様子を見ながら少しずつ加えていくことで、粉の状態に合わせた最適な硬さに調整できます。生地の表面が赤ちゃんの肌のようにスベスベとしてきたら、そこでこねる作業を終了しましょう。この段階での加減が、後の食感を左右する一番のポイントになります。

休ませ時間を取ると伸ばしやすくなる

生地を練り上げた直後は、グルテンが緊張状態にあるため、引っ張ってもすぐに戻ってしまう「コシ」が強すぎる状態です。ここで欠かせないのが「寝かせ(休ませ)」の時間です。生地をラップで包んだり、濡れ布巾をかけたりして、常温なら30分、できれば1時間ほど放置しておきましょう。

この休ませ時間を取ることで、生地の中の水分が均一に馴染み、グルテンの網目構造が緩んで、引っ張っても切れにくく、滑らかに伸びるようになります。特にひっつみを作る場合、この寝かせをしっかり行わないと、薄く伸ばそうとしても途中で穴が空いてしまったり、ブツブツと切れてしまったりします。

時間に余裕がある時は、冷蔵庫で一晩じっくり寝かせるのも一つの手です。寝かせた後の生地は、驚くほどしなやかで、指先で少し力を入れるだけでスルスルと広がります。この「伸びの良さ」こそが、美味しいひっつみを作るための最大の秘訣です。美味しい料理には待つ時間も調味料の一部だと考えて、焦らずに生地を休ませてあげてください。

入れる順番は根菜からが煮崩れしにくい

ひっつみやすいとんを鍋に入れるタイミングも重要です。生地を入れる前に、まずは火の通りにくい根菜類(大根、人参、ごぼう、里芋など)から先に煮始めましょう。根菜類から出る旨味がスープに溶け出し、生地を投入する頃には深い味わいの出汁が完成しています。

生地を入れるのは、野菜に概ね火が通り、汁がしっかりと沸騰している時です。ひっつみなら一枚ずつ薄く伸ばしながら、すいとんなら一つずつ丸めながら投げ入れていきます。この際、一度に大量に入れると汁の温度が下がり、生地同士がくっついて団子状になってしまうため、少しずつスペースを見つけて入れていくのがコツです。

生地が汁の表面に浮き上がってきたら、火が通ったサインです。浮いてからさらに1〜2分煮込むと、生地の芯まで熱が通り、お出汁をたっぷりと吸い込んだ最高の状態になります。あまり長く煮込みすぎると、今度は生地が溶けて汁がドロドロになってしまうため、浮き上がってからの時間配分には気を配りましょう。

仕上げに醤油・味噌を調整すると味がまとまる

味付けのタイミングは、生地を入れる前にある程度のベースを整えておき、最後に微調整するのが失敗しない方法です。生地を入れると、小麦粉の成分が汁に溶け出し、少しだけとろみがつくと同時に、汁の塩分が生地に吸収されます。そのため、生地を入れる前は「少し濃いかな?」と感じるくらいの味付けが、完成時にはちょうど良い塩梅になります。

醤油ベースの場合は、仕上げにほんの少しの「追い醤油」や、刻んだネギを加えることで香りが引き立ちます。味噌ベースの場合は、一度火を止めてから味噌を溶き入れることで、味噌の豊かな風味を逃さずに仕上げることができます。また、東北地方ではひっつみの仕上げに少量の「酒」や「みりん」を加えることもあり、これが全体の味をまろやかにまとめ上げます。

最後に味見をして、コクが足りないと感じたら、少しだけ鶏ガラスープの素を足したり、ごま油を数滴落としたりするのも現代風の美味しいアレンジです。器に盛り付けた後に、七味唐辛子や柚子胡椒を添えれば、味がピリッと引き締まり、最後まで飽きずに楽しむことができます。自分好みの「着地点」を見つけて、温かい一杯を完成させてください。

ひっつみとすいとんの違いを楽しむまとめ

ひっつみとすいとんは、どちらも小麦粉を主役にした温かい家庭の味ですが、薄く伸ばしてつるりとした喉越しを楽しむ「ひっつみ」と、厚みを持たせてモチモチとした弾力を味わう「すいとん」という明確な個性の違いがあります。それぞれの特徴を活かした作り方や具材の組み合わせを試すことで、食卓のレパートリーが大きく広がります。市販の便利な粉やスープも活用しながら、ぜひご家庭で自分好みの「ひっつみ・すいとん」を見つけて、心も体も温まるひとときを過ごしてください。

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この記事を書いた人

日本の名産って、味そのものも好きですが、そこにある「土地の物語」がたまらなく魅力的だと思っています。銘菓の包み紙の美しさや、郷土料理の素朴な工夫、祭りや伝統行事の背景までどんどん深掘りしたくなります。「次はこれを味わってみたい」と思ってもらえる全国の名物情報をお届けします。お土産選びにも、話のネタにも楽しいサイトを目指しています。

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